子供の部屋活動日記

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足指・足首・腰の使いの変化  ~高尾山の取り組み~

2011/05/18

zouriashi-up

平成22年の春。 年長になった女の子の庭の泥んこで遊ぶ姿を見ていて違和感があった。

鍋やバケツ、 タイヤなどに腰かけて遊んでいたり、地面にべタッと腰を下して遊んでいる。

リズム遊びをみていると、

片足でバランスを取ることが苦手でフラフラしてしまったり、走る時につま先で速く走ることをせず、 ベタベタと走ってしまう。

彼女は生後8か月で入園。身体の歪みがあり、ハイハイ期が十分でなく、斜面登りや、ロールマット、 両生類ハイハイに日々取り組んだ。

精神的には、 不安定で、 素直になれず歪んだ表現をしている状態であった。 集中力がなく、キョロキョロ周りが気になる。なにが原因なのか、 ということを保護者と話し合い、生活リズムの乱れを正すこと、家庭での環境を考え、向かい合いを大切にすることなどで安定できるようにと進めてきた。

2歳児から、 多摩川での自由な歩き、 幼児になってからは長距離散歩を常に保育の中に取り入れていた。

しかし、現状を見ていると、足の指先から、足首、腰が弱いのではないだろうか。

長距離でも、 無理なく歩いて行ける力はついているが、 平坦な道・スニーカーだからだろうか。

それなら、月に1度山を登ることを一年間通してやってみよう!と決めた。

足元は、わらぞうりで!

電車で二時間程度の所に高尾山という山があり、標高600メートルくらいである。

初めて行ったときは、いつものように走れない、脱げてしまう、 という様子であった。

登りたいという気持ちはあるが、 とてももどかしい。

私も履いて登ったが、グッと鼻緒を足指で挟まなければ脱げてしまいそうで、帰ってからは、裸足でいると意識せずとも足指で地面をつかんで歩いている感覚があった。

初めは、登ることで精いっぱい。とにかく頂上をめざして、登っていた。

次の月。まだ脱げてしまう。

あたたかく、川沿いのコースを登り、川に下りてみる。岩をどかすと、カニの赤ちゃんたちがみつけられ、このコースはみんな大好きになった。

毎月川のコスを登り、カニはどうなってるかな?と楽しみにし

繰り返し登ることで、木イチゴ、蝉やクワガタ、紅葉、雪、など四季の様々な変化を発見し、楽しみながら登った。

秋ごろになってくると、変化が目に見えるようになり、体力が付き、登りにかかる時間が短くなっていた。

高尾山を毎月、草履で登っていることから、運動会でのかけっこは草履を履いてしよう!ということになった。すると、彼女は登園時に下駄を履いてくるようになり、長距離散歩の時にも下駄を使用していた。

「どうして下駄を履いてきているの?」 と尋ねると

「運動会のかけっこで一番になりたいから!」

という理由であった。

毎日履いていると、「下駄でも走れるようになってきたよ!」「だんだん速くなってきたよ!」と徐々に自信もついてきていた。

運動会は、大成功!!

下駄より藁草履は底が柔らかく脱げやすいが、高尾山でも登る前に、

「今日は一回も脱げないで登ってみたい!」

と、自ら目標を立てていたり、今日はこうだった、あの子は前よりすごかった、など自分の変化や、仲間の変化を発見したり工夫するようになっていった。

草履で苦戦することがほとんどなくなり、余裕があるためどんどん先へいって発見をしては遊びながら後ろの子たちを待ち、 登るような姿になった。

自信がつき、意欲が湧き年長の課題にどんどん取り組んでいけるようになった。

しかし、心を開放できず、まだ素直になれない部分が残っていた。

壁にぶつかって困ったこと、苦しんでいることを助けてほしい!と親にも言えない。

しばらくそのような日々が続き、保育園で保育士としっかり向かい合う中で、自分の今の状態・困っていること・どうしたいのか等を表現することができた。

この経験を通し、家庭では何を大切にしていったらいいのか?信頼関係とは?を考えるきっかけとなり、 これからの子育ての大きなヒントになったのではないだろうか。

冬には、庭で何かに座っている子はいなくなり、畑仕事の中でも鍬を使う姿には腰が入るようになり、しっかりと仕事に向き合えるようになった。

卒園・修了式では素敵な片足のバランスや、つま先を使った走りを見せてくれ、一年間の取り組みの成果を見ることができた。

足指・足首・腰などの育ちが落ち着きや何かに向き合うという部分に大きく関係していることが実践の中で見えてきた。

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